国家公務員を44歳で早期退職した私が、決断するまでの様々な不安と向き合い、早期退職を目指すために行った準備についてご紹介します。
この記事の目次
- 公務員が早期退職するときの「不安」を因数分解してみた
- 大黒柱だった私が、早期退職を決断するまでにした準備
- 44歳で早期退職するシュミレーション事例~具体的な準備
- 公務員を早期退職することに反対する家族を説得するには?
- まとめ
私は元国家公務員で、2種採用。法務省に16年間勤務し、44歳で早期退職しました。当時、子供は保育園児2人。これから教育費がかかりますし、夫は子供が生まれてから無計画に5回転職した、結構自由な人です。子供が生まれた後、夫は無職で、私の育休手当で生活していた時期もありました。要は、私が大黒柱の役割をしており、世帯主でもあったのですが、そんな私が準備を整え、早期退職を決断しました。早期退職に必要なのは「勇気」ではなく「準備」です。その準備についてお伝えします。
私が公務員を早期退職する前に抱いていた「不安」を全て書き出しました
漠然と「辞めたい」とモヤモヤ考えているだけでは、何も進みません。早期退職した場合の、不安を全て洗い出しました。
・定期的な収入がなくなる
・年金は何歳で受け取れるかわからない
・公務員を辞めると年金額が減る
・夫が失業して生活費がなくなったらどうしよう
・教育費が捻出できなくなったら子供たちの将来を閉ざしてしまう
・大きな病気や障害を負って医療費がかさんだらどうしよう
・起業してうまくいかなかったらどうしよう
・宿舎を出て、アパートを借りたら家賃負担が上がってしまう
・配偶者、親、夫の親族にどう説明するか、反対されたらどうするか
・公務員(勤め人)という属性が無くなった状態を想像できない
・職場という社会的つながりを失って孤独を感じないか
・再就職できるか
・望まぬ無職状態が続くおそれがある
・公務員を辞めた後に、後悔しても戻れない
書き出して分かりました。早期退職の不安の本質は「お金の不安」と「つながりの不安」の2つだけでした。
公務員が早期退職するときは「お金の不安」にフォーカスする
早期退職後の「お金の不安」と「つながりの不安」の2つですが、社会的な「つながりを失う不安」は「お金」で解消できると考えました。お金さえあれば、早期退職後も新たな人脈づくりをしたり、趣味を始めることもできます。今までの知人友人と、食事や外出をして、ご縁が切れないように、つなぐこともできます。遠方の方とは、ネットや文通もできます。旅行に行って会うこともできます。
家族の反対の本質も「お金の不安」でしょう。なので、公務員を早期退職したとしても「お金の不安」を解消できれば納得してもらえるだろうと考えました。
家族は私に「公務員であること」を求めているのではありません。私が、苦しみながら悩みながら、公務員として働き続けることを望んでいるのではなく、不安がなく、毎日元気に楽しく生活できることを望んでいます。「公務員」であることは、幸せに生きる手段のひとつであって、「公務員」が人生の目的ではないと考えました。「公務員」でも「公務員以外」でも、私と家族が「幸せに生きる」選択肢が見いだすことが大切なのだと。
大黒柱だった私が、公務員を早期退職を決断するまでにした準備は3つです。「お金の不安」を払拭するには、とことん「お金」と向き合うことでした。3つの準備とは、シュミレーション、現状把握、家族とのビジョン共有、です。
準備(1)シュミレーション
早期退職の準備の1つ目は、シミュレーションです。今後いくらかかるのか、いくらあれば早期退職しても安心できるのか?を計算しました。もしも、1億円の貯金があっても、1年で1千万円の生活費がかかるなら、10年で枯渇します。
(収入-支出)+貯金額>0を、人生の残り年数保つこと
この計算式が成り立てば、早期退職しても死ぬまで安泰です。
これを計算するために、エクセルで、100歳までのシュミレーションシートを作成しました。シュミレーションは、4つのパターンを作りました。
夫会社員、私が公務員を続けた場合 | 夫会社員、私が起業した場合 | |
預金で手堅く貯金する | 80歳で赤字転落、資金ショート | 論外(計算せず) |
投資で資産を運用する | 100歳まで生存可能、資産1.9倍に増える | 100歳まで生存可能、資産2.5倍に増える |
貯金の想定利率は0.003%(普通預金や定期預金、国債を想定)、投資の想定利回りは103%(ドルコスト平均法を想定)しての結果です。
生存維持年数が一番長かったのは「夫会社員、私が起業した場合✖投資で資産を運用する」でした。我が家のシュミレーションで得た結論は「資金運用は必須」と「公務員で定年退職後に再任用などで働くより、細く長く自営業で死ぬまで自力で収入を得られるほうが有利」という結果でした。
↑ 写真は実際に作成したシュミレーション表です。生々しい数字が入っているので、モザイクをかけています。100歳までA4に印刷したものを3枚横につなげました。
エクセルシートで入力したのは、年、家族の年齢、収入・支出・予定される大きな出費です。子供の入学や卒業、就活、子供の独立や結婚、車の買い替え、大きな家電など10万円以上ががかりそうなタイミングも組み込みました。退職金、年金額はシュミレーションサイトで計算しました。
参考サイト
・年金額~ねんきん定期便(郵便)を見る、ねんきん定期便(電子版)
・健康保険料~国民健康保険と任意継続の比較サイト
・年金掛金~国民年金16,540円(令和2年度)、その他年金制度。または再就職先で厚生年金加入、配偶者の扶養に入るなどの選択肢あり。
退職金計算については、こちらの記事に詳しく計算方法を書きましたので、ご興味あれば御覧ください。
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元国家公務員の庶務係長執筆~私の退職金はいくら?自分で計算できる方法
私が現役の国家公務員だった時、退職金計算事務を担当していました。退職金の計算方法、支給日、雇用保険との関係など、退職手当に関する事項を整理しました。
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準備(2)現状把握~収入と支出
早期退職の準備の2つ目は、現状把握です。まずは、収入と支出の現状把握からです。退職3年前から、家計簿を付け始めました。それまでは共働きで、宿舎住まいでしたから「何とかなるさ」と、どんぶり勘定というより、ザル勘定でした。家計簿で現状把握し、できるところから、節約して支出をへらしました。
1年目は手書き、2年目からはPCでつけました。
家計簿をつけることによって、家計簿をつけはじめた当初の生活費から、3/4に減らすことができました。詳しくはこの記事に書きましたので、ご興味あれば御覧ください。
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公務員ワーママの節約家計簿~生活費を3/4に減らしたノウハウ
家事家計講習会でお話ししたフルタイムで働く家計簿のリアルをお話した原稿を全て載せています。家計簿をつけて丸4年、家計簿の選びかた、紙、PC、アプリの比較をご紹介します。
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準備(3)反対する家族の説得をするには
早期退職の準備の3つ目は、家族とのすり合わせです。「公務員を早期退職したい」「独立開業したい」・・・「でも家族が反対する」というご相談が多いです。実はこの記事を書いたのは、そんなお悩みが寄せられ、早期退職までの体験談や、どうやって家族を説得したのかを教えてほしいという、ご意見が多かったので、書いたものです。
夫とは対立ではなく、ビジョンを共有する
ポイントはただひとつ「家族vs自分という対立構造にしない」ことです。「一緒にもっと幸せになりたい」というビジョンを共有すること。いくら、早期退職しても、家族が納得していなければ、結局幸せから遠のいてしまいますよね。
私が夫にしたことは、
・15年前から、公務員を早期退職して独立したいと夢を語っていた
・独立開業までの試行錯誤を随時報告した
・家計簿をつけて、収支や近況を話題にした
・夫の願望達成を応援した
この4つでした。
ご家族が反対すること言うことは「今が幸せ」なのです。「今手にしている幸せを手放したくない」という不安と恐怖です。行動経済学では「保有効果」と呼ばれます。
保有効果を手放すためには「もっと良いものを手に入れられる」と思えることが大切です。なので、早期退職後の不安を減らし、何を手に入れたいのか、どんな生活を目指したいのかを一緒に描きましょう。
私の場合は、公務員を続ける限り転勤がある。家族一緒に暮らしたいから独立開業したい。定年がある公務員ではなく、年齢関係なく働ける力をつけたい、そうビジョンを伝えました。あわせて、シミュレーション結果にもとづいて「公務員より、独立開業したほうが、100歳まで安泰で、資産が増える」と数値化して伝えました。
良い面だけではありません。家計簿をつけるのは、いつも居間で行いました。現金が合わないとか、医療費が増えたとか、電気代・水道代の増減を日常会話にしていました。副業の様子、起業講座に通うなど、そのプロセスも、良いことも悪いことも、夫に随時報告しました。日々、一生懸命夢に向かって、努力する姿を見て、信頼してくれたのだと思います。
スポーツ選手も、アイドルグループも、真剣な練習風景をファンに見せることで、応援の気持ちを抱いてもらえるもの。家族とて、神経な姿に心を打たれるのではないでしょうか。
また、私のやりたいことに協力してほしいという頼むだけではなく、夫が叶えたいことに私が応援することも心掛けました。夫が「転職したい」と言ったときは応援して支える側に回りました。「この仕事はやりたいことだから、休日をつぶして取り組みたい」と言われたら、ワンオペ育児で乗り切りました。独身に比べて、家族がいると独断で行動できない不自由さはありますが、その代わりお互い支えられるのが、強みなのです。
早期退職について、親にはどう伝えたか
私は、両親とも公務員でしたから、早期退職に反対されることを予想していました。ですが、反対されても、私は成人していますし、親とは独立生計なので、迷惑をかけることもありません。親に報告はしましたが、退職を反対されても、決断を変えることはないとゆるぎませんでした。
辞職願を出す前に、両親に報告したところ、父は案外すんなりと理解を示してくれました。母は退職に抵抗を示しましたが、40過ぎた娘の職業選択に、干渉したいわけではありませんでした。
結果的に、早期退職して、公務員の安定は失いましたが、転勤なしに在宅ワークできます。年老いた親にとっては、娘が近くにい続けてくれる安心感ができたわけです。公務員であるメリットとデメリットは、表裏一体なのです。
私が早期退職した時、義親はすでに他界していたので、私が義親に伝えることは経験しませんでした。もし存命であれば、実親よりも丁寧に説明して、理解と協力を求めることが必要だっただろうと思います。義親は生前、商売人だったので、独立開業するにあたって、生きていたら経営論など教えてほしかったな~、開業にあたって色々相談したかったな~と、残念に思います。
まとめ~公務員を早期退職するには、勇気ではなく準備
御存知の通り、公務員は雇用保険がありません。
会社員であれば、早期退職した後、失業手当で生活したり、公費で教育訓練を受けたり、再就職した時でも手当が受け取れます。
しかし、公務員は雇用保険がないため、自力で退職後の生活費、転職や開業する際の軍資金を用意し、次に収入が得られる生活費をも算段する必要があります。
会社員であれば、転職も容易です。他社への転職も可能ですし、退職後も以前の勤務先に再就職できる制度をもった会社も少なくありません。しかし、公務員には基本的にそのような制度はありません。退職したら、雇用保険のセーフティネットなく、自力で今後の生活設計を立てていかなくてはいけないのです。
ここまではあえて、厳しい情勢を申し上げました。
しかし、公務員だからこそ、勇気ではなく、入念に準備して、周りからの応援を得て、あなたの願望達成ができるように根回ししていきましょう。
公務員の得意技は「情報収集」と「根回し」です。
情報収集力を生かして、退職に向けてシュミレーションしたり、早期退職後の生活設計を立てていきましょう。反対するご家族には、地道な根回し力で、味方になってもらい、応援してもらえる環境づくりをしましょう。早期退職の準備にこそ、公務員で培った専門性が活かせると私は思ってます。
公務員特化のオンラインスクールとコミュニティで、情報交換と実践練習
実は、早期退職を考えている公務員の方は多く、でも職場で話せることではありません。退職は「キャリア」と「お金」の悩みが重なります。そこで、両方を同時に解決するのではなく、2段階で課題を解決することが、安全な退職準備につながるとお伝えしています。
安彦和美のオンラインスクールで学べる2段階ビジネスとは?
私が、公務員在職中の副業と、退職後に起業して結果を出したプロセスから、導き出したベストプラクティスは、この3ステップです。
メモ
1.公務員在職中は、職場の兼業許可が要らない小規模な不動産投資を行う。
↓ 不動産投資を通じて、ビジネス経験値と、職場外のネットワークと、自信、自分専用のベーシック・インカムをつくる。
2.公務員退職後は「大家さん」として、社会のインフラを支える地位と家賃収入を得て、感謝される仕事をする。
3.好きなことで起業して、やりがいを感じて、感謝されるビジネスを作り、時間的・精神的・経済的自由をつくる
そして、公務員に特化した不動産投資と、公務員が在職中にできる起業準備のノウハウをお伝えしているのが、安彦和美のオンラインスクールです。
公務員が兼業許可を受けずにできる不動産投資はじめの一歩
不動産投資を全く知らない方が、ゼロイチから学んで、最短7ヶ月で家賃収入を得られた、公務員に特化したレクチャーとコミュニティを提供しています。仕事をおろそかにせず、ボーナス2回分を貯めて、練習物件からスタートします。何度でも質問でき、やってはいけない、買ってはいけない案件から身を守る方法も学べます。
公務員が在職中にできる起業準備実践コース
「ゆくゆくは起業したい」と考える公務員が、在職中からコツコツ進める起業準備法。メイン講師安彦のほか、現役経営者陣のレクチャーが受けられる、論理的かつ実践的な理論度メソッドが学べます。公務員を退職して起業を実現した方を複数排出しています。
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公務員は解雇も倒産もなく安定・安泰ですが、退職に関しては雇用保険がなく、自己責任で退職後の収入源を作らねばなりません。しかも、天下り防止のための再就職規制も厳しく、その分、生活補填として退職金が多い支給されます。たとえば、
年500万円の生活費がかかる家庭→退職金2000万円→4年分の生活費
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