出所後シリーズ

仮釈放はどうやって決まる?期間・条件・手続きを解説します

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仮釈放とは

仮釈放とは、 刑務所で受刑中の人が、満期日よりも前に出所できる制度のことをいいます。懲役・禁固どちらも、仮釈放の可能性があります。 最新の、平成30年版犯罪白書によると、仮釈放率は58.0% 、約6割の受刑者が仮釈放で出所しています。仮釈放者12760人、満期出所者9238人です。(平成30年版 犯罪白書 第2編/第5章/第1節から引用

なぜ、仮釈放という制度があるのでしょうか?

「けしからん犯罪者は、一生刑務所に入ってろ!!」と思われるのも当然です。それなのに、なぜ、仮釈放制度があるのか?それは、社会的なメリットがあるからです。

メリット1:犯罪が減る(仮釈放者は、満期出所者に比べて、再犯率が低い)

刑務所から出所した人が、どれだけ再犯して、刑務所に戻ってくるかという統計があります。仮釈放者(14623人)に比べて、満期釈放者(11887人)は1.62倍再犯率が高いのです。 満期釈放者に比べて、仮釈放者の刑務所再入率は62.4%です(平成25年から平成30年までの5年統計)。 満期まで刑務所で受刑するよりも、少し早く出所させて社会復帰を促進したり、保護観察の指導をつけることで、再犯率が低くなります。未来の犯罪被害が減るのです。(平成30年版 犯罪白書 第5編/第2章/第3節から引用

メリット2:税金が安く済む

刑務所に収容されている人は、全国で53233人います。食費、光熱費、被服費、医療費、刑務所の施設管理維持費、刑務官など人件費、多額の経費がかかり、全て税金で賄われています。刑務所や少年院を運営している、法務省矯正局の予算額は年間2372億円超です。出所した仮釈放者を指導する法務省保護局の予算額は年間273億円。満期釈放に比べて、仮釈放は、単純にかかる税金が1/8以下です(平成30年度法務省予算資料「組織別増員査定結果」から引用)そして、社会復帰した仮釈放者が、生活するうえで消費税を払ったり、仕事をして所得税を納めると、税収が増えます。

仮釈放は、受刑者本人にとっても、社会全体にとってもメリットがある仕組みなのです

あびこ
とはいえ、誰でも仮釈放する訳ではなく、リスクも伴いますので、そのリスクが最小限になるよう制度になっています。

仮釈放の条件は?

仮釈放が決まるうえで、必要最低限の条件は3つ。

・出所後に住める場所があること。

・身元引受人がいること。

・刑務所内のルールを守って生活していること(規律違反がないこと)

刑務所のルールを守れる人間で、社会に出た時に、住む場所や監督者がいないと、仮釈放審理がスタートしません。

 

仮釈放の流れ:仮釈放が決まるまで

必要最低限の3つの条件が揃ったら、仮釈放審理が始まります。 仮釈放審理は 法務省の出先機関である地方更生保護委員会が行なっています全国に8箇所あります。 受刑者のもとに 面接官が出向いて 刑務所内で面接が行われます 多くの場合は2回の面接の後 会議が開かれて正式決定となります 受刑者の間では 運転免許を取るときの仮免本免になぞらえて通称カリメン・ホンメンと呼ばれます。カリメンが入ると、仮釈放の可能性が出てきたことになります。面接があっても、規律違反があったり、会議で仮釈放許可とならない場合もあります。仮釈放でも、満期釈放でも、出所の日が近づいていることには変わりありませんので、出所後の生活を真剣に考えることになります。

step
1
カリメン

保護観察官の面接

step
2
ホンメン

地方更生保護委員会委員の面接

面接で聞かれることは、生い立ち、事件のこと、及ぼした被害や被害者のこと、受刑生活、出所後の生活計画など・・・今後再犯しないために、どうしたら良いかです。

あびこ
仮釈放審理が始まると、事件の被害者や遺族の方も、意見をいうことができます。(被害被害者等施策の「意見聴取制度」)

step
3
会議

地方更生保護委員会での会議(非公開、合議制、本人不参加)

step
4
決定

仮釈放の許可or許可しない決定

step
5
通知

通知(被害者の方へ、身元引受人へ)

step
6
仮釈放の約2週間前

釈前寮へ移る(受刑者本人が、仮釈放予定であることを知る)

step
7
仮釈放当日

朝、刑務所で釈放式が行われます。遵守事項通知書など書面一式を持ち、出所。身元引受人が出迎える場合が多いです。

 

仮釈放の期間

どのくらい仮釈放がもらえるか??受刑者の最大の関心事です。刑法第28条には、刑期の1/3を経過すると「仮釈放できる」となっています。新人弁護士さんなどは、この条文から1/3過ぎたら仮釈放と述べられたりするのですが・・・実態は違います。これは「刑期の1/3を超えない期間は、決して出所させてはならない」という意味で、運用の実態は、刑期の70~99%を服役し、残りの期間が仮釈放となります。この数値を執行率と呼びます。(平成30年版 犯罪白書 第2編/第5章/第1節から引用

刑法第28条 懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。

 

仮釈放当日から仮釈放期間満了日まで

仮釈放当日から、刑期満了日まで、全員が保護観察を受けます。 仮釈放されたらすぐに、保護観察所に出頭し、初回の面接を受けます。仮釈放期間は、住む場所も決められ、身元引受人の監督を受けます。保護観察官や保護司の面接を、定期的に受けなければなりません。薬物使用者の場合は、尿検査や唾液検査を受けて、再使用がないか確認したり、性犯罪や暴力犯罪、飲酒運転、薬物使用など、再犯しないためのプログラム受講が義務付けられます。

仮釈放中に、再犯したらどうなる?

万が一、仮釈放中に再犯をしてしまったら、刑務所に戻されます。 仮釈放期間全てを、刑務所で受刑し直します。そのうえ、再犯の罪を問われ、新たな刑期が加算されます。仮釈放期間中に、交通違反をしてしまう人もいます。罰金刑以上の犯罪が、仮釈放取消の対象となりますので、赤キップを切られるような「30 km以上の速度超過」や「飲酒運転」なども注意しましょう。

保護観察終了時は?

文書による終了のお知らせや、最終回の出頭義務はありません。もともと、裁判官が決めた懲役〇年が過ぎ、満期日の夜中24時を超えたら、自由の身です。

無期懲役にも仮釈放はあるの?

可能性はあります。ただし、無期懲役ということは、社会を揺るがせるような大事件を起こした人物ですから、審理がより厳重に行われます。興味がある方は、法務省のホームページにて「無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等について」が公開されています。

 

この記事を書いた人

安彦和美

元保護観察官:安彦和美

16年間法務省に所属し、地方更生保護委員会に勤務し、計900人以上の仮釈放審理に携わりました。退官し、国家資格キャリアコンサルタントとして独立しました。

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※仮釈放の拒否判断や、身元引受人の方の個別のご相談は、受け付けておりません。所管の保護観察所で、担当の保護観察官と保護司にご相談ください。

 

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