この記事の内容
- 育児短時間勤務の制度(取得要件と期間)
- 育児短時間勤務の待遇(給与、賞与、退職金への影響)
- 経験者が語る失敗談と取得のコツ
私は元法務省職員で、16年間公務員として勤務しました。在職中に2児を出産。その都度、産休→育休を取得しました。復帰後、育児時間(1日2時間)を使い、それでも、仕事と育児の両立に悩み、育児短時間勤務制度(部分休業)を利用しました。いろいろ悩んだ末に、選んだのは、週5日19時間35分の勤務を選択しました。
また、庶務係員と庶務係長の経験が合計4年あり、庶務担当としての制度の知識と、わたしの体験とをあわせて、この記事を書いています。記事の最後に「後悔していること」についても書きましたので、良かったら、最後までおよみくださいね。
育児短時間勤務制度とは?
育児短時間勤務の対象は、小学校就学前の子を養育する職員が、勤務時間を短縮できる制度です。短時間勤務のパターンは、全部で4つあり、このうち1つを選択します。勤務時間の長短に応じて、給与も比例して増減します。
週5日勤務1日3時間55分勤務(計19時間35分)
週5日勤務1日4時間55分勤務(計24時間35分)
週3日勤務1日7時間45分勤務(計23時間15分)
週3日勤務2日を7時間45分、1日3時間55分勤務(計19時間25分)
育児短時間勤務の申出書は?
申出書の様式は?
育児短時間勤務承認請求書を提出します。
育児短時間勤務の回数制限は?
回数制限なし。延長可能です。前回の育児短時間勤務の終了日から1年経過していれば、再度の取得も可能です。
配偶者も公務員の場合
他の親が養育できる場合も、育児短時間勤務を利用できます。
取得できる期間は?
育児短時間勤務承認請求書を、取得開始希望日の1ヵ月前までに任命権者へ提出します。育児短時間勤務の取得期間は、1ヵ月以上1年未満で行います。
育児短時間勤務の影響は?
育児短時間勤務を利用した場合、影響が出るのは、給与・賞与・退職金などです。
給与への影響
減額される項目
一週間当たりの勤務時間に応じて減額される項目は、俸給の月額、俸給の調整額、俸給の特別調整額、初任給調整手当、業務調整手当、地域手当、広域異動手当、特地勤務手当 、研究員調整手当です。
減額されない項目
住宅手当、扶養手当、単身赴任手当、寒冷地手当、通勤手当(ただし 一か月あたりの通勤回数が10回未満の場合は半額となります。)
超過勤務手当、夜勤手当、休日給、宿日直手当、管理職員特別勤務手当、特殊勤務手当は、勤務実績に応じて支給されます。
賞与への影響
期末手当・勤勉手当ともに支給されます。期末手当は、育児短時間勤務をすることにより短縮された勤務時間の短縮分の1/2に相当する期間が在職期間から除算されます。勤勉手当は、育児短時間勤務をすることにより短縮された勤務時間の短縮分に相当する期間が除算されます。
退職金への影響
退職手当は、育児短時間勤務を取得した期間の1/3が除算されます。ただしフルタイムの勤務日が1日以上ある月は、除算対象になりません。細かいことですが、育児短時間勤務を取得する場合は、月末月初を区切りにせず、月半ばから始め、月半ばで終わるほうが、退職手当の計算上は有利になります。
昇給・昇格への影響
フルタイム勤務と同様の取り扱いになります。不利益はありません。
共済関係への影響
育児短時間勤務の取得により、給与支給額が減少します。それにより、共済の標準報酬月額が減少した場合には、標準報酬額が改定されます。ただし、随時改定となる場合でも、少なくとも2~3ヶ月のタイムラグが生じます。育児短時間勤務制度を利用し、給与額が減少しても、共済の引き去り額が、以前の高い給与額で算定されるので、手取り額がさらに減るという期間が生じる可能性があります。育児短時間勤務制度の利用終了時は、反対に、給与額が元通りになり、標準報酬額改定されるまでは、育児短時間勤務中の低い標準報酬で算定され、手取り額が増えます。予期しておくと、心積もりができます。
参考資料
「育児・介護のための両立支援ハンドブック」人事院(平成29年1月改定)
育児短時間勤務を利用した失敗談と取得のコツ
ここまでは、制度の話をしました。
最後に、私の体験談をお伝えしますね。2017年12月~翌年3月まで、育児短時間勤務(部分休業)を取得しました。制度利用したことは良かったと思っていますが、事前にココをしっておけば、こんなに苦労しなかったのに・・・この視点があれば、もっと時間を有効活用できたのに・・・こんな後悔と悔しさがあります。
私の職場は、当時、制度利用者の前例がなく、庶務担当者も初めての対応に、お互い手探りで苦労しました。なので、私の体験がお役に立てれば・・・と思っています。ただ、育児短時間勤務のことは、子供のこと、職場の状況など、パーソナルなことがあるので、ブログに丸出しするのは控えさせてください。なので、非公開動画でお話しています。(一般公開はしておりません)
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この記事を書いた人
この記事を書いた人
元法務省所属の庶務係長:安彦和美
会社員として人事部を5年間経験した後、国家公務員2種試験に合格し、16年間法務省に所属しました。庶務係長・庶務係員として、人事・給与・採用業務を経験しました。
人事制度は、よく知り、うまく活用するためのもの。庶務担当中は、育児・介護・体調不良を抱えながら、公務と両立したいと考える職員の、相談を多数承りました。
また、私自身、2児の母であり、育児と公務を両立する当事者として、国家公務員の人事制度を活用しながら、試行錯誤を繰り返しました。
退官し、現在は、国家資格キャリアコンサルタントとして、公務員の働き方と人事制度利用の講座やイベントを開催したり、個別コーチングをしています。