公務員でもYouTubeチャンネルの開設・動画投稿はOK!
公務員としてのキャリアを大切にしながら、新たな挑戦としてYouTubeでの副業を考えている方も増えています。しかし、その一方で、収益化による職場での懲戒処分や、身バレのリスクも気になることでしょう。
そこで、本記事では、現役公務員時代に、国家公務員法や人事院規則等を読み込み、公務員でもできる副業を、10年間行ってきた筆者が、公務員がYouTuberになることが可能な理由を、根拠法令に基づきながら、公務員がYouTubeチャンネルを開設し、収益を得るための方法と注意点についても詳しく解説しております。
公務員として合法なステップを踏みつつ、兼業許可を得て活動する方法や、収入を得た場合の確定申告のポイントなど、具体的な手順も紹介します。リスクのない形で、公務員としてのプライバシーを守りつつ、YouTubeでの成功を叶えるためのアドバイスをお伝えします。YouTube運営ができるかどうか検討している公務員の方は、ぜひ最後までご覧ください。
公務員がYouTuberとして収益を得る方法
公務員がYouTubeで収益化する方法を4つお伝えします。
1.家族がYouTube配信の主体となる方法
家族名義のアカウントで、YouTubeチャンネル開設を行い、あなたはYouTubeの「裏方」としてチャンネル運営をする方法です。
家族名義のGメールに、YouTubeアカウントを作成して、動画制作や配信を、裏方である貴方が行います。
家族の個人情報を保護して、顔出しや実名だしをせずに、YouTubeを配信するアイデアを紹介します。
顔出ししないYouTube配信方法の例
- スクリーンキャスト(画面を映す)方式~スライドを制作して、読み上げる教育系動画などの紙芝居形式
- ゲーム実況、アニメーション形式の動画
- 自撮りしない方式~首から下のみを映す(飲食・占い等)、手元だけを映す(料理、作業系)
- アバターを使用する
裏方として活動することは当然ですが、誤解を招かぬよう、自分の職業等をYouTubeで公言しないように注意しましょう。この場合、収益はご家族のYouTubeアカウントに紐づけられた口座に振り込まれます。ですので、確定申告等は、振込口座のご家族名義で、行うこととなります。
ご家族の理解と協力を得て行いましょう。
2.兼業許可を得て行う方法
自分名義のアカウントで、YouTube配信を行い、収益化条件を満たした場合に、職場の兼業許可を申請する方法です。
収益化の条件とは
公開動画の総再生時間が直近の 12 か月間で 4,000 時間以上
チャンネル登録者数が1,000 人以上
以上2つの条件を満たし、その上で「YouTubeパートナーシップ」に申し込みすることで、収益化が達成されます。
手順は下記3ステップです。
step
1収益化条件を満たした状態になる
step
2兼業許可を行い、許可を得る
step
3YouTubeパートナーシップに申し込む
こととなります。
YouTubeパートナーシップから許可が出て、晴れて収益化基準を達成すると、このような通知がきます。
兼業許可を得られるYouTube配信内容と許可が得にくいYouTube配信内容
ここでは、兼業許可が下りるかどうかの基準を覚えておきましょう。兼業許可の決裁権者や許可基準は、省庁や自治体によって異なりますが、公務員倫理規定に反しないことは必要条件ですので、基本的に下記の3点は厳守することとなります。
注意ポイント
(1)YouTube配信行為が、公務員の倫理規定や各種法令に違反していないか
当然ですが、職員として、職務専念義務違反や倫理規定に違反しないことが求められます。勤務時間中のアップロードや、職場の端末や回線等を利用しないこと、職場内での撮影、職務上知り得た秘密を配信しないことが重要です。
(2)YouTubeチャンネルのコンセプト、動画内容
YouTubeチャンネル開設のYouTubeチャンネルのコンセプトや動画の内容が、公務員の倫理規定や、信用失墜行為に反しない内容かが、重要です。たとえば、暴力的、差別的、性的な動画等は許可を得ることは困難でしょう。
(3)収益化の目的
兼業許可を得るためには、決裁権者である所属長・上司・国民や住民が「賛同するような」YouTube配信であることが求められます。
具体例を想定します。
兼業許可の可能性が高いと思われるケース
◯地域活性化のための活動や、ボランティア活動など、公益性の高いYouTube配信を行っている。
◯YouTube配信の内容を、国民や住民が視聴した場合にも、職員の活動に好意的な声が寄せられるような内容。
◯YouTube配信で得た収益の使途が明確で、収支報告を定期的に提出することに同意している場合。
◯兼業許可した場合に、組織内の他の職員の士気があがり、好循環が想定されるケース。
兼業許可の可能性が低いと予想されるケース
●職員個人が、私腹を肥やす、利得を求めるためだけの活動。
●公益性が低く、国民や住民がYouTubeを視聴した場合に「公務員が小銭を稼いで良いのか」などと非難されることが予測されるケース。
●収支報告の提出を拒否している、または困難なケース。
●兼業許可した場合に、組織内の職員の士気低下や秩序維持が困難になるなど悪影響が懸念されるケース。
まとめますと、公益性があり、組織内外にプラスの影響をもたらし、職場が、職員の活動を定期的に指揮監督できる場合には、許可の可能性が高くなると考えられます。
3.他人のYouTubeチャンネルに出演する方法
YouTubeチャンネルを運営している他者のチャンネルに、ゲストとして出演することは、問題ありません。
なぜならば、総務省が策定している「国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点」というガイドラインがあります。
この総務省ガイドラインは、平成25年に、復興庁職員の不適切なtwitter(当時)の発信が問題となり、作成されたものです。
そもそも公務員が、YouTubeを含めたソーシャルメディアに出演することは、憲法で認められた表現の自由や言論の自由に該当するため、公務員といえども、すべてが禁止されるものではありません。
ただし、YouTubeに出演する際は、勤務時間外で行い、言動による信用失墜行為に該当しないなどの、公務員法令や倫理を守ることは必要です。たとえば…
ガイドラインの要点
- 法令遵守する(国家公務員法、信用失墜行為の禁止や政治的行為の制限に違反しない、著作権法違反、差別的発言、誹謗中傷等をしない)
- 勤務時間中、出張の移動中、超過勤務時間中等に発信しない
- 公務上の端末、電源、通信網を使って発信しない
- 匿名アカウントであっても、過去の発信やリンク等から組織や個人が特定される可能性があることに配慮する
- 発信内容は、個人の見解であり、所属する組織の公式見解と同一視されないよう留意する
また他人のYouTubeチャンネルに出演することで、単発の報酬を得ることも問題有りません。「国家公務員倫理教本2023」にて「利害関係者以外から報酬を受けて、知識の伝授、テレビ・ラジオ出演」が認められています。これに準ずるケースでは、出演料を受け取ることは問題ないと言えるでしょう。
注意すべきYouTubeゲスト出演は…
利害関係者からの有償依頼の場合は、倫理監督官からの事前承認が必要です。また、出演が多数回にわたったり、何度も繰り返して報酬を受け取ることは、反復継続性に該当して「自営兼業」と疑われかねませんので、注意しましょう。
地方公務員の方は、自治体によって、ソーシャルメディアのガイドラインが公表されていますので、参考にしてください。
4.非常勤職員や会計年度任用職員は兼業可能な場合が多い
非常勤職員や会計年度任用職員等のYouTube配信は、正職員よりも許可される可能性が高くなります。なぜならば、非常勤職員は、正職員とは違い、期限の定めのある雇用形態であるため、雇用保険が適用され、労働契約にもとづいて雇用されており、ダブルワーク等も可能な場合が多いからです。
非常勤職員の方は、採用時に交付された労働契約書の規定を確認し、ダブルワークも可能との記載があれば、御自身でYouTubeの収益化することが可能です。
公務員のYouTubeには収益化しないという選択肢もある
「趣味でYouTube配信を行いたいが、収益化をするつもりはない」という方からのご相談も頂きます。
収益化しないYouTube配信も可能です。なぜならば、YouTubeの収益化は、配信者自身が、収益化の有無を選択できるからです。
収益化基準を満たした場合、YouTubeから配信者に「YouTubeバートナーシッププログラムのご案内」が来ます。この際、収益化ボタンを押すと、収益化ができるようになり、収益化を選ばなければ、どれだけ視聴者数や総視聴時間が増えても、収益化なしで配信を続けることができます。
下図は、収益化の2条件を満たした時に、届くメールです。メール内の「今すぐお申し込みください」ボタンを押すと、収益化手続きに進みますが、手続きを行わなければ、収益化しない状態で、YouTube配信を続けることとなります。
YouTubeの収益は雑所得に該当
YouTube配信で収益化できた場合、収益は、指定口座への振込で行われます。
YouTube収益は、税法10所得の「雑所得」に該当します。
雑所得の計算方法
雑所得の金額=収入(YouTubeからの振込)-経費(動画編集ソフトやマイク等の機材代など)
YouTube収益を確定申告する際の注意点
公務員が「雑所得」を得た場合の、確定申告の取り扱いを知っておきましょう。
副業所得が20万円未満なら確定申告不要
YouTubeからの収益は、税務上「雑所得」として扱われます。そして、この雑所得が年間20万円未満であれば、確定申告の必要がないことをご存知でしょうか。
給与所得者である公務員が、副業で得た雑所得は、年間20万円未満であれば、確定申告をする必要はありません。しかし、20万円以上の場合は確定申告が必要となりますので、収益の管理には注意が必要です。
YouTube収益は、広告収入やスポンサーシップ、スーパーチャットなど様々な形態があります。これらの収益を合算して、年間の総額を計算することが重要です。得た収益を正しく計算していない場合、脱税にもなりかねませんので、収入の記録をしっかりと行いましょう。
YouTubeを副業として行う場合、税務に関する正しい知識を持つことは非常に重要です。確定申告の必要性について不明な点があれば、住所地を管轄する税務署に相談することをお勧めします。電話や対面でも、記帳指導(帳簿のつけかた)や、税務の実務処理も無料で教えてもらうことができ、適切な税務処理を行うことで、安心してYouTube活動を続けることができます。
給与所得者の雑所得は、20万円以下という不申告ルールがあります。
先述のとおり、公務員など給与所得者の雑所得が、20万円以下ならば、申告しなくて良いというルールがあります。
ただし、その他の理由で、確定申告を行う場合は、不申告とはなりません。医療費控除や、マイホーム減税、ふるさと納税のワンストップ特例以外の場合など、御自身で確定申告をする理由がある場合は、雑所得が20万円未満であっても、申告が必要となります。(図参照)
※筆者の動画教材「公務員が副業する時に知っておくべき確定申告の知識」のスライドから抜粋。
経費のレシートは保管しておく
確定申告の要・不要いずれにせよ、YouTube収益が振り込まれた通帳等の収入の記録と、YouTube配信のために使った経費の領収書は、保管しておきましょう。
なぜならば、もしも職場や税務署から問い合わせがあった場合に、証拠書類として提示することができるからです。税務関係の書類は保存期限があり、最長で7年保存ですので、すべて7年間保存することをお勧めします。
私が法務省在職中に、10年間副業収入を得ていた間の領収書の保管方法を動画でお話しています。
確定申告時はe-taxで住民税の普通徴収を選択することができます。
「公務員の副業収入が、住民税の支払いでバレてしまうのではないか?」というご質問を頂くことがあります。
住民税の支払方法は2つあります。
- 特別徴収=給与天引き
- 普通徴収=自分で支払う
ここまでお伝えしたYouTube収益化の方法は、公務員として問題ない行為ですので、給与天引きの「特別徴収」を選んでも問題ありません。
しかし、念には念を入れ、職場の人に知られないようにする場合には「住民税を自分で納付する」=「普通徴収」を選択することができます。e-taxでの確定申告の際は、申請画面で「自分で納付」を選ぶことができます。(下図)
確定申告書を手書きする場合は、確定申告書に「自分で納付」欄に◯をつける欄があります(下図)
e-tax、手書き申告いずれの方法でも、普通徴収を選択することができます。
住民税の特別徴収税額決定通知書に「雑所得」の記載が入る
1~3月の確定申告を経て、毎年5月頃には、住所地のある自治体にて、住民税額が決定されます。給与天引きである「特別徴収」を選択した場合には、職場経由で「住民税の特別徴収税額決定通知書」の交付をうけることとなります。
住民税の特別徴収税額決定通知書には、雑所得の記載が入ります。(図参照)雑所得だけでなく、金融投資や不動産投資による所得、障害年金等も、総所得額に含まれます。給与以外に収入があることは、一定数の職員が該当します。
住民税の特別徴収税額決定通知書に雑所得に印が入ることによって、副業がバレてしまうのでは・・・と懸念される方もいらっしゃいます。
しかし、そもそも、ここまでお伝えした通り、職場のルールに則ったYouTube収益であれば、やましいことはないため、もし職場に知られることがあっても、恐れることはありません。
また、筆者は、法務省在職中に、庶務係長と庶務係員を合計4年勤めました。実務レベルで、実態をいいますと、各職員の総所得額や雑所得の有無を、入念にチェックするほど給与計算担当者は、ヒマではありません。
しかしながら、公務員という組織風土のなかにおいて、同調圧力が強い職場があることも事実ですので、あえて波風を立てないためにも、やっかみ等を未然に防ぐ意味でも、普通徴収を選択したいかたは「自分で納付」を選択すると良いでしょう。
まとめ 公務員もYouTubeできますが…時間と労力と機材等にかける費用対効果を、他の副業と比較検討して
この記事では、公務員であっても、YouTubeで収益化できる方法をお伝えしました。YouTuberの広告収入だけでなく、YouTuberとしての企画力やプレゼン能力、集客力、動画編集スキルを身につけることができ、副業収入につながります。あなた自身のスキルアップにもつながり、将来性大です。
しかし、私自身も、YouTubeで収益化することができましたが、撮影機材、マイク、動画編集ソフト、動画データ保存機器、台本やスライド制作、撮影時間、編集時間など、時間とお金をかけて準備する必要があります。YouTube配信ネタを考えることも大変です。
私が初めて、YouTubeにアップした動画は、20分くらいのものでしたが、初めて取り組んだ撮影や動画編集で、手間取ってしまい「編集に40時間」かかって、やってもやっても終わらない作業に、気絶しそうになりました。
そんなYouTube配信作業にも徐々に慣れ、2019年~2023年6月までに、合計378本の動画をアップして、現在得ている収益は、こちらです。
私に、配信スキルや魅力がないから、収益が伸び悩んでいます。
あなたが、YouTube配信をすれば、高額の収益が入る可能性も大です。しかし、YouTubeをスタートしたとして、稼げるか、稼げないかが、予測できない、ギャンブルのような副業に、賭けますか?しかも、職場にバレないか、ビクビクしながら行う副業は、精神的にも疲弊しますし、モチベーションもあがりにくいです。
公務員現役時代に、10年間副業をしてきた私が、1つだけ、アドバイスするとしたら「副業の選び方がもっとも重要です」と申し上げます。
「本業でクタクタになった後の、貴重な時間を使って、副業をするからには、確実に安定して、安心して収入が得られる副業」が良くはありませんか?
またYouTubeは、有名人も、起業家も、しのぎを削って視聴者の関心を奪い合うガチの競争社会です。公務員の職務経験が生きる可能性はゼロです。
ですから「公務員であることが、強みになり、追い風になり、シード権になる、副業」を選んだほうが、楽に稼げるのではありませんか?」ということです。
もし、YouTube動画配信に関心が高いのでしたら、私のおすすめは、YouTubeは、副業でやるのではなく、本業で動画編集やYouTube配信スキルを習得することをお勧めします。
たとえば、教育、観光、広報など、公務員の職務として動画配信を行う職務は多いはずです。職場でYouTube配信に挑戦する場合のメリットは、機材は職場で用意してくれ、給料をもらいながら、動画配信スキルを学べるのです。
副業の選び方のポイント
- 懲戒処分にビクビクせず、安心して取り組める
- いつ、いくらくらい儲かるのかが、可視化できる
- 退職後もつづけられて、退職後の収入源にもなる
- 公務員の社会的地位や信用を活かして、有利に働く
これら、全ての条件を満たす副業として、不動産賃貸経営を選択肢に入れていただきたいと思います。
「大家さん?!資産家がなるものではないの?」と、私も最初は思いました。実は、勉強して、実践するほど、不動産賃貸経営は、公務員の知識や経験、社会的信用などの、強みを活かしてできる、唯一の副業だと自信を持って言えます。
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