「副業禁止職場なのですが、公務員の範囲に当てはまるのでしょうか?」というお問い合わせを、よく頂きます。
公務員の範囲かどうか、判定基準は簡単で「雇用保険の加入有無」です。公務員は雇用保険なし、準公務員は雇用保険ありです。
公務員、準公務員、法人職員・・・公務員の範囲が、どのように違うのか、整理していきますね。
公務員の範囲とは?
公務員や準公務員など、公的なお仕事といっても、定義も種類も幅広いです。
国家公務員
地方公務員
官公庁で働く非常勤職員、嘱託職員
公共の福祉に関わる仕事
公的な立場
法律に基づいて組織されている職業や団体の職員
お硬い職業、副業禁止職場
ちなみに、国家公務員と地方公務員は、全国に333万人います。
そのほか「公務員に準ずる」と呼ばれる職場や仕事が多いのです。だからこそ、
迷う方も、多くいらっしゃるのです。
雇用保険に加入しているか、給与明細でみてみよう
公務員の範囲かどうか、1つの基準は雇用保険です。雇用保険に加入しているかどうかは「給与明細」をみれば分かります。
公務員=雇用保険なし
公務員の特徴をあげましょう。
解雇や倒産の危険がないです。
それゆえに、失業のリスクを補填する雇用保険にも加入できません。
なので退職すると失業手当がもらえません。
労働法や労働基準法が適用がなく、労働三権も制限されています。団結権は認められていますが、団体交渉権は一部のみ、争議権はありません。公務員がストライキして、役所や警察や消防などが動かなくなったら、困るからです。
公務員の「就業規則」は、法令で決められていて、副業に関する決まりも含めて、国会で法令が変わるの議決を待つしかなく、労使の交渉の余地がありません。
公務員の範囲を決める法律
ちょっと硬い話になりますが・・・公務員の範囲を定める法律は、憲法に由来しているんです。
日本国憲法7条5号
国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
日本国憲法73条4号
法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
官=政府、役所、朝廷
吏=役人、使える人
という意味なのです。
会社員=雇用保険あり
会社員はご存知の通り、解雇や倒産のリスクがあるため、雇用保険に加入が義務付けられています。
退職時に、失業手当をもらうことができます。
労働法や労働基準法の適用があり、労使交渉ができます。副業も、会社が就業規則を変更したり、雇用契約によって変更することが可能です。
会社員である、夫の給与明細です。雇用保険に加入していることが分かります。
判定めやす~公務員試験を受けたかどうか
公務員の範囲に入るかどうかを判定する方法に「公務員試験を受けて、採用されたか」ということも、目安にはなりますが、100%ではありません。
もちろん、国家公務員試験や、専門職試験、地方自治体で行われている職員採用試験に合格して、職員採用された方は、公務員です。
ただし、正規の公務員のポストであっても、経験者採用や欠員補充など「選考採用」として公務員試験を経ないで採用される方もいます。
ハローワークに求人が掲載されたり、地方自治体の広報誌やホームページで採用情報が掲載されることがあります。
なので、公務員試験を受けていないからといって、公務員でないとは言えないのです。
準公務員とは、どういう人?
準公務員の定義はいろいろありますが、正規の公務員ではないため、雇用保険に加入しているけれども、法令にもとづいて就業規則が決まっている人を指します。国公立大学職員や、国立病院職員などです。
参考 行政法人の職員
行政法人の職員は、雇用保険に加入しています。
例えば、国公立大学の職員は、以前は国家公務員として採用試験が行われていました。現在は、独立行政法人となり、人事制度は国家公務員時代を踏襲しつつも、雇用保険の加入対象となっています。独立行政法人として、職員の就業規則は、法令で決められている部分も多く残っており、「準公務員」といえます。
公務員の範囲を見定める方法 まとめ
「私は公務員の範囲に当てはまる?」と思われている方、給与明細を確認してくださいね。雇用保険の加入対象でしたら会社員に近く、加入していなければ公務員です。
雇用保険 | 公務員試験 | 就業ルール | |
公務員 | なし | あり(ただし選考採用もある) | 国家公務員法や地方公務員法、条例など |
準公務員 | あり | なし(ただし国立大学法人職員など、採用時に国家公務員だった方もいる) | 根拠法令と独自規則 |
法人職員(会社員) | あり | なし | 労働法、労働基準法、就業規則、労働契約 |